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【看護】ぼちぼち訪問看護 ~回想録~ その㉚ 『「ともに生きる」ということ』

【看護】ぼちぼち訪問看護 ~回想録~ その㉚ 『「ともに生きる」ということ』

こんにちは。看護部門・副管理者の大塚です。
訪問看護師としてきが付けば20年余り。
「昔もあって、今も変わらないもの」「今までも、これからも大切にしたいもの」ぼちぼちつづります。

【グリーフケアとは】
親族や家族、友人など親しい人との死別を体験され、グリーフ(悲嘆)の日々を過ごしておられる方に寄り添い支援をすることです。
私たちも、訪問をさせていただいた方がお亡くなりになった後、グリーフケアとしてお伺いさせていただくことがあります。
また、このような機会は支援させていただいたスタッフにとっても、大切な機会だと思っています。
****

綺麗な三日月の夜に旅立たれたMさんの四十九日が過ぎ、Mさんの担当を私から引き継いでくれたスタッフナース、担当ケアマネジャー、そして私の3人で、Mさんのご自宅にお伺いした。

ドアを開けた奥様の顔が「ぱっ」と明るい笑顔になり、
「わー、懐かしい。来てくれてありがとう。」と私たちを招き入れて下さった。
ベッドが引き上げられ、すっきりと片付けられたリビングには、Mさんの柔らかな笑顔の遺影とともに小さなお仏壇があった。
最期のとき「夕焼けが見たい」と言われたMさん。
奥様が選ばれたのは、夕焼けの様なほんのりやさしい茜色のお位牌だった。
山が好きで文章を書くことが好きなMさんらしい「戒名」が刻まれていた。

「居なくなってしまったんだと、まだ思えなくて‥。」
そう言いながら、奥様はひとつひとつ思い出すようにMさんのお話をしてくださった。

病気が見つかってからの、この2年間のこと。
私達が訪問看護でお伺いするようになった頃のこと。
治療のための月数回の通院がとても大変だったこと。
奥様自身が体調を崩してしまわれたときのこと。
最期の数カ月のこと。
お2人が出会った頃のこと。
ずいぶん昔に2人で旅行に行ったときのこと。
2人並んだ笑顔の写真の数々。
これから2人でやりたかったこと。

時には、笑いながら。
時には、ぽろりと涙をこぼしながら。
私達4人は小さなテーブルを囲みながら、いろんな話をした。

・・・・・
Mさん、そしてご夫婦で病気に向かわれる姿勢は、私にいろいろなことを投げかけてくださった。
訪問看護師としてできることは何か。
訪問看護師として忘れてはならないことは何か。
訪問看護師としてどうあるべきか。
私が病気になったら、Mさんの様にできるだろうか。
私の夫が病気になったら、Mさんご夫婦の様にできるだろうか。
それから、人間としての強さ。弱さ。

私はMさんから教わったことを忘れずに、心に刻みたいと思う。
私がMさんから教わったことは、これから先、私が仕事で迷った時や人生の決断をしなければならないような折々に思い出し、
きっと私の力になってくれるだろう。

それが、訪問看護でお会いしてお見送りした方々と、これからも 『ともに生きる』 という事だと思っている。